「……天気いいな」

「うん……」

「……」

「……」

リスのふれあい広場がある所から少し離れた場所にある芝生の上。
レジャーシートを敷いて二人座って過ごしていたが、会話が続かずにいた。

周りには藍里達と同じようにレジャーシートを敷いてのんびりしているカップルや家族がいて、人の少ない場所では子供達がはしゃぎ回っている。

楽しそうな雰囲気を羨ましいと思うと同時に、藍里は未だにモヤモヤして仕方ない胸の内に溜め息をついた。

「疲れたか?」

「あ……ううん、大丈夫」

藍里の溜め息に気付いたらしい智大の問いかけに即座に藍里は否定した。
けれど智大は納得はせずに、怪訝な視線を向けてくる。
その視線に落ち着かない気持ちになり、藍里は周りにそっと目を向けると小さく口を開いた。

「あのね、みんな楽しそうだな……って」

「楽しそう?」

「うん。子供達も大人の人も……恋人同士かな?その人達も楽しそう」

何をするでもないのに、何かを話しては幸せそうに笑っている。
どうしてそんなに会話が続くのだろうかとか、何でそんなに幸せそうなのかと思っていたら智大はすっと目を細めた。