ーー恐怖によるドキドキが、恋のドキドキと勘違いして……。
吉嶺の言葉が何度も頭の中で繰り返される。
藍里が智大に心を開いたのはいつだった?
好きだなと思えるようになったのは、連れ去り事件の後ではないか?
それがもし、吉嶺の言う吊り橋効果と言う勘違いから起こった気持ちだとしたら……?
「私……」
小さく呟かれた言葉は、吉嶺と松浦には届かない。
ただ真横にいる智大だけは動揺している藍里の声を拾い上げ、じっと見下ろしていた。
話し合いの結果、藍里の仕事の行き帰りの時など外に出ないといけない時は極力智大が送迎を。
智大が無理な日は主に吉嶺や松浦、ごく稀にこの辺りが管轄の吉嶺の同僚の人が警護をしてくれることになったが、思いの外大事になっていることに藍里は戸惑った。
「こ、こんなにお手数おかけして……」
「気にしないでください。市民に安心して過ごしてもらい、事件を未然に防ぐのが我々の勤めですから」
正義感溢れる警察らしい松浦の言葉に藍里は数回瞬きすると、二人が訪れてから初めて微笑んだ。
その笑顔を見て吉嶺は悶え、智大は焦りに似た表情を浮かべていたのだけれど藍里は気付いていなかった。
吉嶺の言葉が何度も頭の中で繰り返される。
藍里が智大に心を開いたのはいつだった?
好きだなと思えるようになったのは、連れ去り事件の後ではないか?
それがもし、吉嶺の言う吊り橋効果と言う勘違いから起こった気持ちだとしたら……?
「私……」
小さく呟かれた言葉は、吉嶺と松浦には届かない。
ただ真横にいる智大だけは動揺している藍里の声を拾い上げ、じっと見下ろしていた。
話し合いの結果、藍里の仕事の行き帰りの時など外に出ないといけない時は極力智大が送迎を。
智大が無理な日は主に吉嶺や松浦、ごく稀にこの辺りが管轄の吉嶺の同僚の人が警護をしてくれることになったが、思いの外大事になっていることに藍里は戸惑った。
「こ、こんなにお手数おかけして……」
「気にしないでください。市民に安心して過ごしてもらい、事件を未然に防ぐのが我々の勤めですから」
正義感溢れる警察らしい松浦の言葉に藍里は数回瞬きすると、二人が訪れてから初めて微笑んだ。
その笑顔を見て吉嶺は悶え、智大は焦りに似た表情を浮かべていたのだけれど藍里は気付いていなかった。



