すれ違いお見合い結婚～相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~

なんとか朝食を用意すると、どぎまぎしながらさっぱりした様子の智大と向かい合って食事をする。
シャワーを浴びて目は覚めたはずなのに、たまにこっちに向けてくる智大の視線が殊更甘く感じた。

「ご馳走様でした」

「ご馳走様。片付けはやるから座っとけ」

「うん、ありがとう」

カチャカチャと皿を重ねて持っていき、慣れた手つきで洗っていくその様子を藍里がなんとなく見つめていると、インターホンの音が響きビクッと硬直した。

「っ……」

「俺が出る」

一気に血の気が引いてしまった藍里を一瞥した智大は、モニターを確認して応対すると玄関に向かった。
昨日の人ではなかったのだと安心して息を吐いていたら、少しして智大だけではない足音が聞こえてきた。

ーーお客さん、かな？

まだ早い時間に誰が。と思いながら来客を迎える為に立ち上がり、現れた人物を見た瞬間、藍里は恐怖のあまり叫んでしまった。

「っ……いやあぁぁぁっ！！」

「藍里！？」

「いやっ……やだっ……来ないでっ！！」

突然現れた警察の服を来た男性二人に昨日の恐怖が一気に蘇り、藍里は壁まで逃げると背中をくっつけてその場にしゃがみこんだ。