すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~

〈智大side〉

「ん……ぅ……智、君……」

寝言で自分の名前を呼ぶ藍里に愛しさが溢れ出すのが止められず、智大は藍里を抱き直すと顔が見えるようにして触れるだけのキスをした。

封筒の事を知っていて言わなかったのは、藍里が自分から言うのを待っていたからだ。
我慢強く、一人で何でも抱え込む藍里が弱音を吐けるただ一人の存在にしてほしかった。

中々言えずにいた藍里は身も心も疲れきっていたけれど、やっと口にしたSOSに智大は嬉しく思うと同時に安堵した。

「漸く頼ってくれたんだ……絶対に守るから、安心しろ」

勿論、藍里が言えなくても動ける範囲では既に動いていたし、絶対に守りきるつもりではいたけれど。
その後も眠っている藍里を離さず何度も顔だけでなく髪や頭、手などに口付けるとその度に藍里は擽ったそうに身を捩っていた。

「守れたら……そうだな、褒美でも貰おうか。いいよな、藍里」

熱のこもった眼差しでそう問いかけるが、藍里からの返事はない。
けれどそんな藍里に、約束したからな。と言うと何度目かになる唇を触れ合わせた。

藍里の為に、早期解決を目指す智大はスマホを手に取り指を滑らせた。