すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~

その後は藍里と同じくらいかもう少し身長が高めの女性店員達、恐らく世間一般の人達よりは身長の低い方に割り振られるであろう店員達にわいわいと取り囲まれていた。

「お客様は顔立ちも幼くお見えになるので、無理に大人っぽい服装をしても似合いませんね」

「やっぱりスカート……いえ、Aラインのワンピースなんてどうでしょう?」

「ああ、いいんじゃないかしら?それにアウターを重ね着して……うん、とってもお似合いです」

「色は濃い色より白い方が似合うと思うんですけど……」

「ワンピースは着回しも出来ますからね。例えば、ワンピースの下にシャツを着たり……」

藍里が口を挟む間もなく、店員達は藍里に色々な服をあてがっては楽しそうに相談しながらあれこれ服を選んでいく。
そして、藍里が戸惑っている間にいくつか候補となる服が選ばれたようで、試着室に連れていかれてしまった。

「お客様、着られましたか?」

「は、はいっ」

「では、少し失礼しますね」

言われて試着室のカーテンを開けられると、店員達がコーディネートしたAラインのワンピースの上にニットを着た藍里の姿を見て、満足気に微笑んだり感嘆の息をこぼしていた。

「とってもお似合いですよ!どうです?旦那様もそう思いますでしょう?」

店員の一人がそう言いながら後ろを振り向くと、そこには呼び戻されたらしい智大が立っていた。
緊張に身を固くすると、智大は上から下まで藍里の姿を見て、やがていつもの表情の読めない顔で頷いた。