すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~

「おめでとう!」

「ありがとう!ってそうじゃなくて、今日は藍里の話を聞きに来たんだってばっ!
結婚が事後報告なのもびっくりしたのに、男性恐怖症の藍里がよりにもよって永瀬と結婚してるのよ!?何があったのよ!?」

「何って言われても……」

幼馴染みだけあって千栄は幼稚園から高校までの藍里と智大の関係をよく知っている。
智大の影響で周りの男子から嫌がらせを受けて男性恐怖症となった藍里を近くで見ていたからこそ、今回の結婚の話は正に寝耳に水だったようだ。

「突然お母さんが明日お見合いって言ってきて、お見合い場所に連れていかれたらいつの間にか婚約してて、あっという間に式を……」

「何で抵抗しなかったのよ!相手は永瀬でしょ!?断ればよかったじゃないっ!」

「ちょっと千栄、落ち着いて……」

興奮して声が大きくなっている千栄に周りの人達がちらちらこちらを見ているのに気付き、藍里は声を潜めて落ち着かせようとする。
周りの人の視線が怖かったのもあるけれど、こんなに興奮してお腹の子に影響がないかが気になって仕方なかった。

「大体、永瀬も永瀬よ!幼稚園の時からあんな態度とっといて何で今更結婚なんて……。
!!……藍里、あんた暴力受けたり暴言吐かれたり、いいようにされてないわよね……?」

千栄の心配さ故の気迫が伝わってきて、藍里は背を若干仰け反らせながら小さく頷いた。