すれ違いお見合い結婚～相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~

「藍里！久しぶりーっ！」

「千栄(ちえ)！」

元気だった？元気元気ー！と藍里は最寄りの駅前の銅像の前で久々に会った友達と手を取り合ってはしゃいでいた。

千栄も智大と同じく幼稚園から一緒だった幼馴染みだが、高校を卒業して県外の大学へ進学。
そこで知り合った男性と結婚したのでこちらに帰ってくることも殆どなく、会う機会が全くなかった。
けれど、どうしても直接会って話を聞きたい。と藍里と休みを合わせて帰ってきたのだった。

「さあ、どういうことか教えてもらうわよ？“あの”藍里がどうして“あの”永瀬と結婚したのか」

全て話すまでは絶対逃がさない。と言わんばかりに強く手を握られ、口元は微笑んでいるのに目はギラギラとしていて全く笑っていないという器用な表情を見せる千栄に藍里は苦笑しながら頷いた。



駅の近くにあるカフェに場所を移し、千栄は大盛ナポリタン、藍里はチキンのサラダを頼むとお互い眉を潜めた。

「藍里、ダイエットでもしてるの？それだけじゃ倒れるわよ？」

「そんなにお腹空いてないからいいの。それより千栄こそ、そんなにたくさん食べれるの？」

「私はいいのよ。二人分食べないといけないんだから！」

そう言って膨らんでないスレンダーなお腹をポンッと軽く叩いた千栄に藍里は目を丸くすると、嘘！おめでた！？と身を乗り出した。