すれ違いお見合い結婚～相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~

「別に無理して会わなくてもいい。入江はともかく、俺や室山先輩のような体格の男は藍里にとって恐怖しか感じないだろ？俺が上手く言っとくから」

「む、無理はしないよ……？悪い人ではないのは分かってるし、智君のお仕事の人だし……。
ただ……分かってるのに、怖く感じてしまうのと、震えるのを止められないと思うの……それが申し訳なくて……」

「大丈夫だ。二人とも藍里の事をちゃんと理解してくれているから」

そう言う智大を見ると、二人に絶対的な自信を持っているのか強気な笑みを浮かべていた。

「……智君、出来るだけ傍にいてくれる……よね？」

「当たり前だろ。……お前に俺以外の男を近付けさせるか……」

「え？今、何て……」

「何も言ってない」

智大が小さく呟いた言葉が聞き取れず聞き返したが、智大は言う気がないのか藍里から手を離して食事を再開させてしまった。
気にはなったけれど智大の様子だときっとそれ以上聞いても教えてくれなさそうだったので、藍里も止まっていた箸を動かし始めた。

「それより、最近また食欲がないようだけど何かあったのか？」

「え？そ、そんなことないよ……？」

指摘されたことにドキッとしなから藍里は誤魔化すために必死に笑顔を作った。
かなり怪しんでいる智大の見えないところで冷や汗をかいていると、智大はすぐに折れてくれたのか何も言わなかった。