「また……動物かって……そんなに頻繁に引っ掛かれるのは技術に問題があるって……飼い主も迷惑だから……いい加減辞めろ……って……」
声に出していると余計に悲しくなり、そう言われた時のことが蘇ってきて胸が痛み涙が滲んできた。
泣くものかと唇を噛み締めようとすると、すぐに大きな手が藍里の顎を捉えて太い親指が唇の間に滑り込んだ。
「んぅ……っ?」
「泣くのを我慢する時、いつも唇を噛み締める癖があるだろ……傷がつくから止めろ」
そんな癖があるとは自分でも気付いてなかった。
こくこく頷くと、智大はそのまま藍里の唇に指を滑らせた。
「っ……」
「いつも止めさせたいと思ってた」
目を細めて慈しむような眼差しを向けられ、藍里はさっきまでとは違う戸惑いを感じた。
何度も何度も飽きることなく唇を撫でられ、背筋がぞくりとする。
恐怖とはまた違った感覚に耐えられなくて目をぎゅっと瞑ると、智大がフッと笑った気配がした。
「その言葉は悪いけど覚えてない。ただ、どんな気持ちで言ったかは分かる」
「気持、ち……?」
「嫌だったんだ。藍里の体に少しでも傷がつくのが……痛々しくて見ていられなかった」
「痛々しくなんて……」
言いながら今日出来たばかりの傷を見る。
時間がそんなに経っていないから赤くなっているけれど、血も出ていないくらい浅い傷だった。
声に出していると余計に悲しくなり、そう言われた時のことが蘇ってきて胸が痛み涙が滲んできた。
泣くものかと唇を噛み締めようとすると、すぐに大きな手が藍里の顎を捉えて太い親指が唇の間に滑り込んだ。
「んぅ……っ?」
「泣くのを我慢する時、いつも唇を噛み締める癖があるだろ……傷がつくから止めろ」
そんな癖があるとは自分でも気付いてなかった。
こくこく頷くと、智大はそのまま藍里の唇に指を滑らせた。
「っ……」
「いつも止めさせたいと思ってた」
目を細めて慈しむような眼差しを向けられ、藍里はさっきまでとは違う戸惑いを感じた。
何度も何度も飽きることなく唇を撫でられ、背筋がぞくりとする。
恐怖とはまた違った感覚に耐えられなくて目をぎゅっと瞑ると、智大がフッと笑った気配がした。
「その言葉は悪いけど覚えてない。ただ、どんな気持ちで言ったかは分かる」
「気持、ち……?」
「嫌だったんだ。藍里の体に少しでも傷がつくのが……痛々しくて見ていられなかった」
「痛々しくなんて……」
言いながら今日出来たばかりの傷を見る。
時間がそんなに経っていないから赤くなっているけれど、血も出ていないくらい浅い傷だった。



