「ん……」
カーテンの隙間から入る朝の日差しで目が覚めた藍里は瞼を擦りながら体を起こし、ヘッドボードに置いてある時計を見ると針はいつもの起床時間から大分過ぎているのを示しているのに気付き顔を青褪めさせた。
「寝坊した……?」
今日は自分は休みだけれど、智大は変わらず仕事がある。
ご飯やお弁当を用意するのは藍里の担当なのに、この時間では今から急いで用意しても到底間に合わない。
ーー怒られる……!
ベッドから飛び下りて急ぎ足で階段を下りてリビングに向かうと、そこにはもうすっかり着替え終わって今まさに出勤しようとしていた智大がいて無表情のまま藍里に視線を向けてきた。
「……おはよう」
「ぁ……」
挨拶されて返そうと思っても、恐怖心の方が勝って声が出なかった。
“おはよう”、“寝坊してごめんなさい”、“朝ご飯用意できなくてごめんなさい”、“お弁当、後で届けようか?”と、言わないといけないことや聞かなければならないことはたくさんあるのに、智大を前にすると頭が真っ白になって震えてしまう。
そんな藍里を暫く見ていた智大はやがて小さく溜め息をつくと、行ってくる。とだけ言った。
「あの……!ご飯……」
咄嗟にそれだけを言うが、その後の言葉を続けられずに俯いてしまった。
智大が続く言葉を待っている気配がするけれど一度止めてしまった言葉を続けるのは難しくて、どうしよう、どうしよう。とグルグル悩んでいると智大が小さく息を吸った気配がした。
カーテンの隙間から入る朝の日差しで目が覚めた藍里は瞼を擦りながら体を起こし、ヘッドボードに置いてある時計を見ると針はいつもの起床時間から大分過ぎているのを示しているのに気付き顔を青褪めさせた。
「寝坊した……?」
今日は自分は休みだけれど、智大は変わらず仕事がある。
ご飯やお弁当を用意するのは藍里の担当なのに、この時間では今から急いで用意しても到底間に合わない。
ーー怒られる……!
ベッドから飛び下りて急ぎ足で階段を下りてリビングに向かうと、そこにはもうすっかり着替え終わって今まさに出勤しようとしていた智大がいて無表情のまま藍里に視線を向けてきた。
「……おはよう」
「ぁ……」
挨拶されて返そうと思っても、恐怖心の方が勝って声が出なかった。
“おはよう”、“寝坊してごめんなさい”、“朝ご飯用意できなくてごめんなさい”、“お弁当、後で届けようか?”と、言わないといけないことや聞かなければならないことはたくさんあるのに、智大を前にすると頭が真っ白になって震えてしまう。
そんな藍里を暫く見ていた智大はやがて小さく溜め息をつくと、行ってくる。とだけ言った。
「あの……!ご飯……」
咄嗟にそれだけを言うが、その後の言葉を続けられずに俯いてしまった。
智大が続く言葉を待っている気配がするけれど一度止めてしまった言葉を続けるのは難しくて、どうしよう、どうしよう。とグルグル悩んでいると智大が小さく息を吸った気配がした。



