思わず優翔を睨んでしまう。

怒っているわけではないのに。
ただ女として見て欲しいというわがままなのに───



そのひと言がどうしても口にできない。



「ほら、怖く睨まない。
そんなに嫌?」

「……嫌」
「えー、悲しいな」


眉を下げて落ち込むフリをするけれど、それが嘘だということはもう知っている。

優翔はいつも余裕があるのだから。
逆に余裕がなくなるのは私である。


「私だってもう高校生なの!」

終いには強く言ってしまうから本当に馬鹿だ。
彼も呆れることだろう。


けれど素直に謝ることなんてできなくて。



「……何、あんたたちまた喧嘩したの?」


基本朝ごはんは組の中で偉い人たちと食べることが多い。


つまり決まった時間に食べるため、遅れないように優翔が起こしに来てくれるてるのはわかるけれど。

ちゃんとアラームだってセットしているし、少し起こすのが早いのだ。

別に優翔に起こされなくたって起きれている。