「でも鈴華が家で食べたいなら…」
「食べに行きたいっ…!」


外でご飯って、恋人みたいだ。
こんなチャンス滅多にない。

基本外に出かけることはしない私たち。


家柄も家柄なので、安易に外に出てはいけないのである。

それでも今日は許可が下りたということだろう。


「じゃあ決まりね」

優翔が嬉しそうに笑い、私の頭をぽんぽんするけれど。


絶対に私のほうが嬉しくて喜んでいる自信がある。

だって優翔とふたりで、言ってしまえば制服デートであるのだから。


「ふふっ…」

思わず笑みがこぼれてしまう。
嬉しい、楽しみ。

早く放課後になってほしいなぁ、なんて。


「ねぇ優翔、どこ行く……優翔?」


パッと優翔のほうを向けば、なぜか手で顔を覆い肩を震わせている姿が目に入る。

さらには顔を背けてしまった優翔。