「でも、もう逃げられないよ。
鈴華は一生俺の隣で過ごすの」


そっと手が伸び、先ほどと同じように頬へ添えられる。

かと思えば指で優しく撫でてきて。


恥ずかしい。
頬が少しずつ熱を帯びていくのがわかる。


一生って、それだと優翔と結婚することになってしまうじゃないか。

彼はそれをわかって言ったのだろうか。


いや、そんなはずはない。



「早速浴衣着て背伸びする鈴華、最高にかわいいよ」
「かわ…!?」

違う、おかしい。
私がほしい言葉ではなく、ショックが大半だ。


結局“かわいい”。
彼の瞳には子供っぽい私しか映らないのだ。



「でもそんな髪型されてたら、噛み付きたくなるね」
「噛み付く…?」

「そのうなじから首筋から、全部」


優翔の手が後頭部へとまわされる。