「単純じゃない、し…」
けれど自分も否定できないのだから、これ以上言い返すことはできない。
「まあ確かに優翔はやりすぎだと思うけどね。
あれは絶対に拓哉さん以上よ」
「拓哉さん以上…?」
「拓哉さんの意地悪さと言ったら、本当にすごいのよ?それを超えるのが息子である優翔で……ああ、考えただけでも恐ろしい」
お母さんがそんなことを言うだなんて、よっぽどである。
「とにかく頑張りなよ、鈴華。
たまには素直になるものね」
そう言って渡されるのは黒がベースである浴衣。
見た感じ大人っぽい。
「それで、今から着付けの練習ね。
ひとりで着れるようになりたいんでしょ」
「う、うん…!」
浴衣を渡されたかと思うと、お母さんも赤い浴衣を取り出して。
お母さん指導のもと、5回ほど着付けの練習を行っていた。



