「……うん、もういい」
ここで“私の方こそごめん”と言いたいのに、どうしても口にできない。
こんな自分が嫌になる。
「まあ喧嘩するほど仲が良いっていうからなぁ。
鈴華ちゃんの両親が典型的だから」
なんとなく気まずい空気になっていると、テーブルの真ん中に座る組長が場を和ませてくれて。
まぁ実際そうなのだけれど。
私の両親は多々喧嘩するのである。
といってもくだらないことばかりで、見ている私が呆れるくらいだ。
何だかんだ言って喧嘩の後はラブラブだし、よくわからない。
「なっ……そんなこと、ないかと」
私のお母さんが恥ずかしそうに組長に言い返したけれど。
残念ながら今はこの場にお父さんがいないため、お母さんだけ恥ずかしい思いをしているようだ。
申し訳ないけれど、思わず笑ってしまう。



