その後、手を繋ぎながら露天を見てのんびり歩いていると前から見知った顔を見付けてしまった。

出来ることなら今日は会いたくなかった男だ。

「よぉ!偶然だな」

「彩月……」

「彩月くん、こんなところで何してるの?」

まだこの時の瑠奈は彩月が自分を溺愛していることに気付いていないのか純粋に何をしに来たのか気になっているようだ。

龍はわざわざ彩月がデートを邪魔しに来たのが解っている。

効くかどうかは分からないがとりあえず彩月を睨んでみる。

「友達と祭りに来る約束だったんだけどドタキャンされたんだけど、一緒に回って良いか?」

「そえなんだーそれなら良いよ!」

「ちょっ!」

「サンキュ、何やりたい?何でも奢ってやるぞ」

もう既に瑠奈の隣をキープし、彼氏の俺のポジションにいる。

まじか………

勘弁してくれよ……

会うのすら久し振りで、何より初デートだっつーの!!

心の中で彩月に向かって悪態を付くがお構いなしで瑠奈を見つめている。

瑠奈の兄貴で俺の友人だがほんっとに………………殴りてぇ、マジで。