アメリカに来て何度目かの春が来た。

最初の1年は大変だった。

言葉は通じるが勝手が違う外国での生活は中々慣れず、しかも大分慣れたと思った夏頃に妊娠発覚。

つわりが酷くて家事も買い物も出来ず、日本に帰ることもままならない状態だった。

龍くんやお隣さんの60代のブラウン夫妻が助けてくれた。

ブラウン夫妻は子供達が全員結婚し、それぞれ別の州に住んでいて中々孫にも会えないと私達を孫のように可愛がってくれていた。

ようやくつわりが治まったのは妊娠後期だったので飛行機に乗ることを龍くんが許してくれず、日本での出産を諦めることにした。

その間にミス・ブラウンに育児のいろはを教えてもらったり、手作りのベビー用品の作製を手伝ってもらった。