「俺もシャワー浴びてくるから先に食ってろ」

ポンポンと頭を撫でて龍くんはバスルームへ消えていった。

先程まで龍くんが座っていたソファーに座るとサンドイッチ、サラダ、フルーツ、ジュースがローテーブルに準備されていた。

サンドイッチを一切れ手に取り食べる。

これから私達はどうなるんだろうか?

龍くんの婚約報道は嘘だったことぎが判明したのは良かったが、これからも付き合いが続くのであれば遠距離恋愛の始まりだ。

また龍くんの居ない日々を過ごさなくちゃいけなくなるのかと思うと一口目はあんなに美味しく感じたサンドイッチが味気ないものになる。

「はぁ~」

自然とため息が零れる。

離れたくないけど就職先も有り難いことに内定をもらっている。

就職難と言われるこの時代に第一志望の会社に内定がもらえるだなんてとてもラッキーなことだ。

随分と悩んでいたのかまだ一切れ目のサンドイッチを食べている最中に龍くんがバスルームから出て来た。

私と同じバスローブに身を包んでいるのにこの体全てから醸し出される色気は何なんだろう?

思わずばっちり合ってしまった視線を逸らす。

するとそれを気に食わなかった龍くんがソファーに勢いよく座る。

その勢いで私は少し飛び上がった気がする、例え話じゃなくて。

「何で目逸らすんだ?」

「えっと……………その……」

言いづらい。龍くんの色気に当てられただなんて言いづらいに決まっている。