僕は…鈴に笑っていて欲しいから…
プラ板サイズのキャンパスには、僕の一番好きな鈴の表情を描いている。
その裏には、鈴への気持ちを描くつもりだ。
「…」
保健室に着いた僕と鈴。
僕は椅子に座って大人しく鈴の手当を受ける。
…こんなに一生懸命僕のために動いてくれているのに…
鈴を助けるには僕が鈴と交わした約束を破ってしまうことになる…
…やだなあ…
鈴が元気になった姿、見たかったなあ…
「輝?」
「どうしたの?」
「私、もう死んじゃうかもしれない。」
…え?
まだ、持つんじゃないの?
「…なんで…」
「昨日、先生が話してるの聞こえちゃって…」
「…」
…鈴は助ける。
……
だから、…まだ、生きてくれ。
僕の太陽でいてくれないと、僕は絵が描けない…
「…ま、だ…生きて、いたいよお…」
鈴は僕にしがみついて涙を流す。
「…輝と一緒に…生きて、いたい…」
「…」
僕は…鈴を助けたい。
鈴は…僕と生きたい。
…どっちの願いを神が叶えてくれるかなんて一目瞭然だ。
だから僕は…僕の命を放り出してでも、鈴を助ける。
「輝…私…ずっと、一緒にいたい、の…」
嗚咽を交えながら鈴は話す。
…出来れば僕だって、一緒に居たいよ。
それくらい、鈴のことが好きなんだ。
「…うん。」
「だから…私が、ここにいる間は、一緒にいて?」
…大丈夫だよ、鈴。
鈴はずっとここに居られるから…
初めて僕、を見てくれた人だもん。
絶対に助けるよ。
「もちろん、ずっと一緒だよ…鈴。」
キミの命は何があっても守るから…
【卯月輝side END】