一晩中、僕は泣き続けた。

「…」
…瞼が重い。
ガンガンする頭をフル回転させて朝の支度をする。
「…うわっ…ひどい顔…」
目は真っ赤に充血してて青い顔をしていた。
泣きすぎて頭痛い…
ーピロン♪︎
…?メール?
鈴からだ…
『おはよう輝!今日お父さんが送ってくれることになったんだ!帰りは一緒に帰ろ!』
…帰り…か…
この顔で学校行ったら鈴に突っ込まれそうだ…
…休もう…
『おはよう鈴。
今日風邪ひいちゃって、行けそうもないや。
ごめんね。』
…実際頭痛いから仕方ない。
『そっか。分かったー!!お大事に!
先生には伝えとくね!』
…同じクラスだといいな。
連絡も入れといてくれる。
支度を途中でやめてもう一度布団に戻る。
…部屋の隅に置いてあるあの絵。
…完成させよう…
美術室で描いていたのはもう完成した。
ちょっとした手直しだけしている。
家で描いてるこの絵は手直しもしつつ進めてる。
…天使の顔。
下書きはしてあったっけ。
…描こう。
“早く描いて”って言ってる。
…今、描こう。
僕は起き上がって筆を握る。
天使の顔を丁寧に描いていく。
…鈴みたいだなあ…
やっぱりモデルは鈴だ…
「…はあっ…出来た…」
タイトルも付けとこ。
『またね。』
鈴が言ってくれた、この絵のタイトル。
昨日、母さんも言ってくれたこの言葉。
僕もそろそろ決心しないと…
ボールペンと便箋を取り出してペンを走らせる。
鈴へのこの想いと、謝罪。
…ごめんね、鈴。
【卯月輝side END】

【佐倉鈴side】
輝、大丈夫かなあ…
今のところ、私の心臓も異常ないし、帰り、輝の所行こうかなあ…
『帰り輝の所行ってもいい?』
…寝てるのかな…
寝てたら悪いし、大人しく帰ろう…
…でもやっぱり気になる!
「ただいまお父さん!」
「おかえり鈴。」
「スーパーよって輝のところ行く!」
お父さんは首を傾げながらもスーパーに行ってくれた。
…えっと、風邪だから…
ビタミンと…
もうよくわかんないからゼリーでいっか。
みかんゼリーとフルーツゼリー、その他色々食べやすそうな物を買って、スーパーを出る。
「鈴、卯月くんの所に行くのはいいけど道知らないよ?」
「私が知ってるー!!」
お父さんに道案内して輝の所に行く。
「このアパート!」
「分かった。
じゃあお父さんは時間つぶしに近くの本屋さんいるから。」
「はーい!」
輝のアパートの駐車場でお父さんと別れて私は輝の部屋に行く。
…寝てるかな…
ピンポーン…
インターホンを押してしばらく待つ。
ー…ガンッ!
…何今の…