「兄ちゃん待たせたな!送るぜ!」
渉さんがでてきて僕は大人しく送って貰うことにした。
「えっと…輝、だっけ?」
「はい。」
「自転車、ごめんな。」
…自転車…
特に思い入れはなかったけど、父さんからの最後の贈り物だったなあ…
鈴を後ろに乗せることももう出来ない。
「いいですよ。」
「梨華、あのこと言ったのか?」
…?
あのこと…?
「…いいえ。」
梨華さんは静かに首を横に振って顔を伏せる。
「なあ輝。」
「…はい。」
「…俺たちと家族にならないか?」
【卯月輝side END】