しばらくその音楽に聞き入っていた
匡貴はようやく口を開く。
匡貴「鏑木先輩が心配してる。」
雫「知ってるよ。
毎日、電話かかってくる。」
匡貴「何で避けるんだよ。
ようやく、鏑木先輩と付き合えたのに。
避ける理由を教えてよ。」
私が首を横に振ると匡貴は
小さなため息をついた。
匡貴「知る権利はあるはずだけど。
俺が今までどれだけ雫に
協力してきたか分かってる?
手に入れたかったものを
手に入れたのに
遠ざける意味が分からない。」
多分、匡貴は知ってる。私の気持ちを。
でも、それでも決めつけないのが
匡貴の優しさなんだ。



