だから、私は...絶対に絶対に
笑いたい。先輩にもう二度と
泣き顔は見せたくない。

辛い思いを経験した先輩に...
私よりも辛い気持ちを乗り越えた先輩に
私の負を見せたくない。

雫「逃げなくても幸せです。私は。」

瀬那「じゃあ、その涙の理由は?」

雫「先輩が優しいから。...ですかね。」

瀬那「そう。」

少しだけ腑に落ちない表情を
浮かべながら
おにぎりを食べ終えた先輩は
カバンから取り出したお茶を飲む。

瀬那「この間、隣の家に住む
75歳のばあちゃんが
5つのタッパー持って
家に訪ねてきてさ。
ろくに話した事もなかったし
作り過ぎたから食べて欲しいって
言われても正直戸惑った。
不気味だろって思いながらも
その料理食ったらめちゃくちゃ上手いし
やっぱり、ちょっと嬉しかった。
この人、俺の事気にかけて
くれたんだなーってさ。」

これが、先輩の優しさだ。
1.5倍よく喋る先輩だ。