悲しい気持ちにならないのは。
辛い気持ちにならないのは。
お姉ちゃんの存在があったからこそ。

せっかく先輩といられるのに。
目の前で先輩は笑ってるのに。
私はまた、そんな事を考えていた。

瀬那「北見。」

雫「何ですか?」

瀬那「辛いなら、いつだって逃げろ。
お前には逃げる場所があるから。」

そう言いながら先輩は
持っていたタオルで私の涙を拭った。

知らなかった。
私、泣いてたんだ。

敏感な先輩は全てを知ってる。
きっと、私の感情の全てを。