ーウィーン
自動ドアが開くと
慌てた様子の匡貴が駆け込んでくる。
匡貴「雫!雨音さんは...?」
雫「匡貴、もう私...無理だ。」
匡貴「雫...大丈夫か?」
こんな時にも匡貴は優しい。
いや、こんな時だからこそ
匡貴は優しい。でも、こんな時には
優しさなんて必要なかった。
雫「5階の霊安室にお姉ちゃんいるよ。
見てるの辛いから私、帰るね。
匡貴だけはちゃんとお姉ちゃんに
手合わせてあげてね。
それだけで救われると思うから...。」
匡貴「待って。雫。
すぐに戻るから。一緒に帰ろう。」
雫「ごめん。...1人になりたい。」
誰の優しさにも触れたくはなかった。
だって、私1人だけ幸せにはなれないから。
お姉ちゃんを犠牲にして
私だけ幸せになる訳にはいかないから。



