雫「私の事も梶谷先輩の事も
サッカー部の皆の事も
クラスメイトの事も
嫌いにはならないで下さい。
気持ちなんて考えなくていいから
深く関わらなくていいから
これからも人を好きな
鏑木先輩でいて下さい。」

瀬那「北見...。」

多分、ずっと前から...
いや、出会った頃から
サヨナラの準備は万全だった。

全てを整えた上で私は先輩が好きだった。

雫「今日で鏑木先輩のストーカーを
卒業します。だから、最後に1つだけ
私のお願いを聞いてください。」

瀬那「何だ?」

雫「いつか...先輩が心の底から
好きだと思う人を見つけて
その人の気持ちを知りたいと
思った時、諦めないで下さい。
信用してあげて下さい。」

瀬那「分かった。」

雫「今まで本当に
ありがとうございました!」

深く頭を下げると涙がこぼれ落ちた。

その涙の理由はきっと沢山ある。
だけど、鏑木先輩には
見せたくない涙だった。

鏑木先輩に背を向け最後の言葉を告げる。

雫「先輩、さようなら。」

その言葉を伝えた時
私の肩を確かに軽くなった。

重荷が全てなくなったんだ。