今日の先輩は随分とお喋りだ。

多分、先輩と知り合ってから
今日が1番、お喋りだ。

出来る事ならもっと
別の話を聞きたかった。

瀬那「母さんの時は良かった。
病気だったから仕方ない。
そう思う事が出来た。
でも、父さんの事に関しては
仕方ないとは思えない。
生き甲斐だった仕事を奪われ...
落胆していた。確かにそうだ。
でも、もしかしたら...俺を育てる事に
疲れていたのかもしれない。
俺がそばにいる事が父さんの
負担になってたのかもしれない。
分からないけど...そう思う。
自分を責めないと...気が狂いそうだ。
俺の夢を...憎んでしまいそうなんだ。」

先輩はポケットから
1枚の原稿用紙を取り出し手渡した。

『僕の夢。 4年2組 鏑木瀬那
僕のお父さんは警察官です。
お父さんはいつも街の人たちを
守るために頑張っています。
夜遅くまで働いて、たまの休みも
遊んではくれなくてほんの少しだけ
寂しいけれど、僕はお父さんの事を
かっこいいなと思います。
だから、僕もお父さんのような
警察官になりたいです。
ありがとうって皆から感謝される
警察官に、街の人たちの笑顔を
守れるような警察官になりたいです。
僕は笑顔が大好きです。朝、おはようって
挨拶してくれる隣のおばちゃん。
忙しくてもいつも笑顔のお父さん。
僕の面倒を見てくれるお母さん。
学校の先生。クラスの友達。
皆の笑顔が大好きです。
だから、皆が安心して暮らせる
街を僕もお父さんと一緒に
守っていきたいです。』