匡貴「ブランコってさ、凄いよな。
ただ、自分の足で漕いでるだけなのに
もしかしたら空も飛べるんじゃねぇかって
思えるっつーかさ...。努力って
案外、自分自身で気付かないものなのかもな。」

雫「何それ。」

匡貴「飛んでもいい?
あの頃みたいに空高く。」

雫「え?」

私の声が聞こえてるのか
聞こえてないのか
匡貴は鎖から手を離し宙を舞う。

でも、不思議と怪我をするかもしれないとは
思わなかった。見事な着地を決めた
匡貴は誇らしげな笑顔を向けた。

憎らしいけど懐かしい笑顔だった。
匡貴は昔からこうして
私の事を慰めてくれた。

子供の頃は凄いと思っていた
匡貴のその姿も今では全く
別の感情で見てしまう。

雫「ごめん、匡貴...ウザイ。」

匡貴「知ってる。雫が今
1人になりたい事くらい。
でも、ごめん。1人にはさせない。
今日は、ウザくても...させないから。」

だけど、匡貴は匡貴のままだ。
あの頃と何にも変わらない。

雫「うん。一緒にいる。
今日はウザくても...一緒にいて。」

大人になってからも匡貴は
私の1番の味方だ。