雫「私には全然分かんないです。
賢い先輩なら、ちゃんと気付いてる。
梶谷先輩が悪い事をしてるって。
でも、それでも梶谷先輩を
止めなかった鏑木先輩の気持ち
全然分かりません。
私には、友達がいないから。
親友だって思える友達なんて
出来た事ないから、分かんないです。」
瀬那「...もしも、匡貴が決して誰にも
褒められるべき事じゃない事を
していたとして、お前だけが
その事実を知ってしまったら
お前は匡貴を売るのか?
こいつが悪いって公にするのか?
友達のいないお前に唯一
優しくしてくれた人を悪者に出来るか?」
怒っている割に先輩の
その口調は冷静だった。
雫「先輩の言う通り、匡貴は
今までずっと私のそばに
いてくれた人です。
匡貴がどう思ってるかは
分からないけど
私は匡貴の事が大切です。
だからこそ、私は悪者にします。」
瀬那「ふっ。最悪だな、お前。」
雫「大切だから......
真っ当に生きて欲しいって
思う事は最悪ですか?
大切だから......
道を踏み外して欲しくないって
願う事は最悪ですか?」



