瀬那「お前が洗ったのか?」

雫「何の事ですか?
私はただ、拾っただけです。」

先輩は髪の毛を束ねていた
ヘアゴムを静かに取った。

瀬那「髪まで濡らして保健室に
ドライヤーでも借りに行ったか?」

嬉しかった。先輩には私の行動は
バレバレなんだなって。

雫「意味が分かりません。」

手に持っていたユニフォームを
体操着の上から着ると
先輩は肩に掛けていたタオルを
私の頭にかけた。

瀬那「今日はもう帰れ。
...風邪...引くなよ。」

雫「...はい。」

去って行く先輩の背中を
追いかける事は出来なかった。
今はただ涙が溢れ出したから。

先輩がいなくなったその場所で
私はしばらく泣いた。