子を想う母の気持ちは偉大だ。さっきまで躊躇していた機械を片っ端からいじっていく。とにかく、外に出たかった。
「これも違う・・・。これも違う。」
ロドの想いをあざ笑うかのように、白い壁は何も反応しなかった。苛つき怒鳴った。
「ねぇ、あなたはここに来て何年にもなるんでしょ。それくらい、カルフから聞いてないの?ねぇ?」
焦っているのが、早口になって表れていた。それでも、テミロはためらった。
平手打ちをされたのは、久しぶりだった。パクが生まれる前、ふたりは夫婦ケンカをよくした。きっかけは、些細な事ばかりだったけれど、原因はいつもテミロのいくじのなさからだった。その事が、まるで昨日の事のように思い出された。
「わかった。」
目立たない所にあった突起を、テミロは力強く押した。白い壁が虹色になった。その先に、パクの姿が見える。ただ、とても出入り口には見えなかった。
「ふざけないで・・・。」
ロドがそう言い終わらないうちに、テミロは虹をくぐっていた。そして、虹色の中に後ろ姿が見えていた。
「これって、通れるの?」
まず、手をゆっくりかざした。手だけが虹色に染まる。思わず見とれてしまった。
「きれい。」
「おい、何してるんだ?」
テミロの声に、ロドも虹をくぐり、パクの元に走った。
「これも違う・・・。これも違う。」
ロドの想いをあざ笑うかのように、白い壁は何も反応しなかった。苛つき怒鳴った。
「ねぇ、あなたはここに来て何年にもなるんでしょ。それくらい、カルフから聞いてないの?ねぇ?」
焦っているのが、早口になって表れていた。それでも、テミロはためらった。
平手打ちをされたのは、久しぶりだった。パクが生まれる前、ふたりは夫婦ケンカをよくした。きっかけは、些細な事ばかりだったけれど、原因はいつもテミロのいくじのなさからだった。その事が、まるで昨日の事のように思い出された。
「わかった。」
目立たない所にあった突起を、テミロは力強く押した。白い壁が虹色になった。その先に、パクの姿が見える。ただ、とても出入り口には見えなかった。
「ふざけないで・・・。」
ロドがそう言い終わらないうちに、テミロは虹をくぐっていた。そして、虹色の中に後ろ姿が見えていた。
「これって、通れるの?」
まず、手をゆっくりかざした。手だけが虹色に染まる。思わず見とれてしまった。
「きれい。」
「おい、何してるんだ?」
テミロの声に、ロドも虹をくぐり、パクの元に走った。


