パクは疲れきっていた。ミルルの体は傷だらけだった。それでも、ゆっくり休む事は出来なかった。もし、ふたりが一緒に休んだら、たちまち時間の流れが、ふたりに牙をむく。その事がわかっていたふたりには、ただ突き進むしかなかった。
「パク、大丈夫?」
人の事を、気にしていられるような状態じゃなかった。それでもパクよりは、少しはマシだった。パクは無意識の中で、ぼんやりと歩いているような状態だった。
「うん、大丈夫・・・。」
「そうか、わかった。きつくなったら、言うんだぞ。」
男らしい台詞だ。でも、いくら男らしく振る舞っても、ミルルは女の子だ。その柔らかかった掌は、血だらけになっていた。
―――あれ・・・、何かおかしい感じがする・・・。
血が抜けてきたせいだろうか、何か感覚がおかしい。
―――どうしたんだろ?私・・・。
疲れのせいだと思い込むようにした。それよりも、先へ、パクのお母さんが待つ先へ、それだけを考えようとしていた。