鎖

「ミルルぅ。」
遙かにいるミルルの元に向かった。かなり、さらわれたのか見つける事が出来ない。
「ミルルぅ。ミルルぅ。」
何度、その名を叫んでみても反応がない。頭にヤンダルの言っていた事が、浮かんできた。焦りが、パクの心臓を締め付ける。
「ミルルぅ。」
いつしか、声も枯れてきた。それも当然だ。時間の流れを止めているため、慣れない鎌を振り回し、なおかつミルルを捜すために叫び続ける。屈強な男でも、弱音を吐きたくなるつらさだ。それでも、パクはミルルの名を叫んでいた。
「はぁ、はぁ、ミルル・・・。」
「うげっ。」
何かの鳴き声が聞こえた。
「なんだ？」
よく目を凝らし、確認した。何かがいる。その姿は、ひかれたカエルのようだ。気になったパクは、近くまで駆け寄った。
「ミルル？」
土まみれで、本当にミルルなのか自信が持てない。側に寄って確認すると、ますますカエルに見えた。
「誰がカエルだって？」
土の中から声が聞こえてきた。そして、パクを羽交い締めにした。
「おい、パク。誰がカエルだって？こんな美人をつかまえて、そんな事言うか？普通、言わないだろ。なぁ？」
「く、苦しいよ。ミルル、苦しいってば。」
言葉とは対照的に、パクは笑顔だった。