止まっていた流れが再び流れ出す。鎖を付けていないふたりは、そのままさらわれた。
「パク、早く振って・・・。」
パクは幹に掴まって耐えていた。しかし、ミルルは鎌こそ持っているものの、全身をもってかれ叫ぶ事しか出来なかった。
「ぬ、抜けない。」
木に深く突き刺さり、なかなか鎌が抜けない。そうしている間にも、ミルルはどんどん遠くに行ってしまう。
焦りばかりが増していく。手には汗がじっとりと滲んできた。
「ミルルぅ。」
何かが生まれた。
鎌の柄を持ち、時間の流れに身を委ねた。まるで、飛んでいるようだ。そこから体をひねり、幹を思い切り蹴飛ばした。
「ぬ、抜けろぉぉぉ。」
蹴った勢いと、流れの力、そのふたつが合わさり、いくつかの木片と共に鎌が抜けた。
同時に勢いを利用して、弧を描くように切り裂いた。
流れは止まった。