しかし、状況は一変した。凄まじい振動が、研究室を襲った。資材は崩れ、カルフもその下敷きになった。それでも、振動は止まない。いつしか、カルフは気を失っていた。
気がつき、資材をどけようとした。が、力が入らない。それも、ただ力が入らないのではない。怪我をした、そんな感じでは決してない。理由がわからなかった。それでも、必死にあがいていると、自分の掌が目に入った。
―――なんだ、この手は・・・。
老いだ。それまで、止まっていた老いが一気にやってきた。そのせいで、力が入らなかったのだ。
なんとか、抜けだし鏡を見た。その姿は、昨日までの自分と、孫と祖父くらいの差があった。