母親がいなくなった不安。それもあわさり、パクの体はさらに重く感じた。
―――母さん・・・。
頭がぼんやりとする。それでも、自分の命を繋ぐ鎖だけは、しっかりと付けていた。
「うわっ。」
扉を開けると、いつもより時間の流れが速い。今まで、経験した事のない速さだ。
「こんな時になんで・・・。」
泣き言を言いながらも、母親を捜しまくった。ワイヤーの分岐点では、一度、鎖をワイヤーからはずし、別のワイヤーに付け替える必要がある。いつもなら、なんの事もない作業も、今日は半端じゃないほど大変だった。
「母さん、母さん。」
いつしか涙は枯れ、パクの表情をこわばらせていた。