ヤンダルの家は、代々続いている鍛冶屋だ。村で使われている農機具や刃物、なんでもヤンダルの父親が造っていた。ヤンダルは、仕事を覚えるために、毎日、毎日、暑い工場に籠もっていた。
「ヤンダル、ヤンダル、いる?」
ロドは、親に頼まれ、包丁を買いに来ていた。しかし、いくら声をかけても返事がない。気になったロドは、工場の方へと歩いていった。
「ヤンダル、いないの?」
やはり、返事はない。ただ、工場からはものすごい熱気だった。
―――気がつかないのかな?
隅から工場の中を覗いてみた。そこには、ものすごく真剣な顔をしたヤンダルが、一生懸命に何かを造っていた。厳つい顔は、炎に照らされ真っ赤だ。そして、汗だくになっていた。
「ちくしょう。うまく出来ねえなぁ。」
手に持った包丁を見て、ヤンダルはつぶやいていた。その包丁は、オレンジ色に輝き、とても綺麗だった。素人目には立派に見えた包丁も、ヤンダルにとっては単なる駄作だった。
「駄目だ。駄目だ。」
失敗作を置く場所なのだろうか。ヤンダルの後ろに、いくつもの農具や刀、そんな物がたくさん積まれていた。そこに包丁を置こうとした。
「待って。」
思わず、声をかけてしまった。ヤンダルは、驚き、慌てて額に浮かんでいる大量の汗を拭いた。
「ど、どうしたんだよ。ロド。何か用か?って言うか、親父いなかったか?」
「うん、いなかったよ。それで、こっちの方で気配がしたから、来ちゃったの。ごめんね。」
「いいよ、いいよ。気にするな。親父がいないのが悪いんだから。それで、用ってなんだ?」
せっかく拭いた汗が、話している間に、また吹き出していた。それに気がつき、ヤンダルは、必死に汗を拭った。
「悪りな。いつも仕事している時はこんな感じでよ、汗くさくなっちまうんだよな。臭いだろ?少し離れていた方がいいぜ。」
「ううん、そんな事ないよ。今のヤンダルって、男を感じさせて格好いいよ。」
「そっかぁ。うれしい事言ってくれるな。よし、うれしいついでにまけてやるよ。親父もいないしな。」
あどけない笑顔をうかべた。
「ヤンダル、ヤンダル、いる?」
ロドは、親に頼まれ、包丁を買いに来ていた。しかし、いくら声をかけても返事がない。気になったロドは、工場の方へと歩いていった。
「ヤンダル、いないの?」
やはり、返事はない。ただ、工場からはものすごい熱気だった。
―――気がつかないのかな?
隅から工場の中を覗いてみた。そこには、ものすごく真剣な顔をしたヤンダルが、一生懸命に何かを造っていた。厳つい顔は、炎に照らされ真っ赤だ。そして、汗だくになっていた。
「ちくしょう。うまく出来ねえなぁ。」
手に持った包丁を見て、ヤンダルはつぶやいていた。その包丁は、オレンジ色に輝き、とても綺麗だった。素人目には立派に見えた包丁も、ヤンダルにとっては単なる駄作だった。
「駄目だ。駄目だ。」
失敗作を置く場所なのだろうか。ヤンダルの後ろに、いくつもの農具や刀、そんな物がたくさん積まれていた。そこに包丁を置こうとした。
「待って。」
思わず、声をかけてしまった。ヤンダルは、驚き、慌てて額に浮かんでいる大量の汗を拭いた。
「ど、どうしたんだよ。ロド。何か用か?って言うか、親父いなかったか?」
「うん、いなかったよ。それで、こっちの方で気配がしたから、来ちゃったの。ごめんね。」
「いいよ、いいよ。気にするな。親父がいないのが悪いんだから。それで、用ってなんだ?」
せっかく拭いた汗が、話している間に、また吹き出していた。それに気がつき、ヤンダルは、必死に汗を拭った。
「悪りな。いつも仕事している時はこんな感じでよ、汗くさくなっちまうんだよな。臭いだろ?少し離れていた方がいいぜ。」
「ううん、そんな事ないよ。今のヤンダルって、男を感じさせて格好いいよ。」
「そっかぁ。うれしい事言ってくれるな。よし、うれしいついでにまけてやるよ。親父もいないしな。」
あどけない笑顔をうかべた。


