足首に付けた固定具が、ひんやりと冷たい。ロドが、これからしようとしている事のおろかさを、まるであざ笑っているかのようだ。それでも、決心は揺るがない。鎖を手に取り、二つ目の扉を開けた。
「きゃ・・・。」
小さな叫び声だった。時間の流れは、昼間のそれとは比較にならない。その力に逆らうためには、信じられないほどの力を必要とした。そして、力を、全身の力を振り絞るためには、大きな声は余計だった。体の中に溜めた力は、外に出してはいけなかった。
ワイヤーを手に取り、鎖を固定した。
「パク、待っててね。」
振り返り、つぶやいた。やさしい母親の目をしていた。
「なんて力なの・・・。」
ロドを襲う力の強さは、ただ呆れるばかりだ。それでも、あゆみを止める事はな
かった。確実に、足元を確かめ、地を這うように歩いた。全身の力が奪われる。
命を削られていくと言っても、間違いはないだろう。
まだ、それほど家から離れていないのに、もうボロボロだった。