丘の鎖が届くギリギリまで、パクとミルルは来ていた。ここは何故か、時間の流れが緩やかだ。そんな事もあって、ふたりはよく遊びに来ていた。
「ねぇ、ミルル。ミルルは、この村から出たいと思った事はない?」
「何、突然。私は思った事ないよ。と言うか、思わないようにしてるってのが正しいかな。ワイヤーが張ってある場所から先は、あっという間にさらわれるからな。なんで、そんな事聞くんだ?」
「ううん、なんとなくね。」
そう言ったものの、パクには考えがあった。
「たださ、これは死んだ母さんから聞いた話なんだけど、村の外には、この流れを止める術があるとか、ないとか。もしあるならさ、そこに行って流れを止めたいなぁ。そしたら、こんな鎖使わなくていいからな。ま、そしたら家は商売あがったりだけどな。」
「そうだね。」
大声で笑った。