「秋鳴」

「…なんだよ」

「ずっと好きでいてくれてありがとう」

「……ひなめ、しゃべったな」



少し動揺している様子の秋鳴
体が強ばっている


けど、そう言うとぴくりと反応し

恨めしげにひなの名前をつぶやく






色々諦めたようにため息をこぼすと

秋鳴は静かに言葉を向けてくる



「…言っとくけど、俺はあいつみたいにストレートに好きだとか言えない」

「うん」

「口が悪いのも自覚はしてるけど
多分直せない」

「うん」

「……一度懐にいれたら
例えお前が嫌になっても手離せない
逃がしてやれない」

「うん」



「それでもいいよ」



顔をあげて
どこか不安そうな表情を浮かべてる秋鳴に
笑いかける



「それでも、好きだよ」



分かりづらくても
素直じゃなくても


それでも一緒にいたいと思う


「私だって同じだよ」


見栄を張ったり
強がったり
素直じゃないところもある


「それでも
ずっと傍にいてくれるんでしょ?」


ずっと、好きでいてくれるんでしょ?


「…ああ」

変わらず笑う私を見て

秋鳴の表情が段々と緩んで
優しいものに変わっていく


「ずっと傍にいてやる」



上から口調は相変わらず

だけど

ぶっきらぼうな話し方も

背中にまわされたあったかくて大きな手も
優しく笑うその顔も


全部

好きだなって思ったんだ