「確か・・・黒ずくめで・・・なんかのお面付けてたり・・・?」
「お面?」
なんの?と聞きながら角を曲がろうとした時。
男「・・・っ、ひっ、ひぃぃいいいいい?!?!
くっ、来るなぁ!!近寄るなぁ!!?!」
急に聞こえた男の叫び声にぴたりと足が止まった
男「やめっ、やめてくれ!金ならいくらでも出す!だ、だから助け」
ざしゅっ、
叫び声が何かを貫くような鈍い嫌な音と共に止む
二人は吸い込まれるように角の向こうを覗く。
ダメだ、やめろ、危険だ、覗くな。
そんな信号が鳴り響いているにも関わらず、
・・・覗き込んでしまった。
「「っ、?!?!」」
そこは行き止まりになっていた。
壁に真っ赤な液体が飛び散り、
心臓を貫かれて絶命している男の亡骸。
その傍に・・・、
全身黒ずくめが立っていた。
手には身長を越す長刀。
その刀身は赤く艶やかに濡れていた。
やばい、やばいやばいやばいやばいやばい。
全身の毛穴が一気に開き、冷や汗が身体をなめる
修羅場などとは無縁な生活を送っている平凡な
少年たちでも本能的にやばいと感じらせるほどの「何か」をそいつは放っていた。
二人は動かない。否、動けない。
その時。
ゆっくりと、黒ずくめがこちらを振り返った。
見えたのは、黒い、狐の面。