蓮side
雫の退院日は知ってたが、行った頃には既に居なかった
会いたいと今井に雫の家を聞いたが

『1人暮らしの女の子の住所を教える訳ないだろ』

仕方なく帰路に着いた
それからだ、雫と会えなくなってるのは
紫音にも、あれから会ってない
朔に、暫く倉庫に行かないと連絡が入った
水沢先生のとこにも行くが

「さっきまで居たんだけど、今日もすれ違いね」

居る筈の時間に行くのに、何故か会えない
それが何週間にも続き、気付けば一ヶ月は経ってた
もう、学校にも行く気が無くなって、一日倉庫に居るのが多くなってる
雫に会いてぇ
紫音にも、聞きたい事が

「蓮」
「…」
「蓮」
「…」
「蓮?」
「…んだよ」
「はぁ、やっと返事してくれましたね。ずっと不機嫌になってるもんですから」
「…ッチ」
「こら、舌打ちしない」
「……少し外出てる」
「分かりました」

ピコン

「紫音からの久し振りの着信ですね」
「!」
「…今日は倉庫に顔を出すそうです」
「そうか」

俺は倉庫から出て、周りから死角になる場所の壁に凭れ空を見上げる
くそ、何でこんなモヤモヤしてんだ
雫を考えれば考える程…