蓮side
病室を出て、屋上へと来た
フェンスに凭れてると紫音が来た
紫音は俺の隣まで来て、暫く沈黙が続く

「蓮」
「何だ」
「今井が言ってた事」
「…」

『雫はお前等を信用してない』

「雫、姉さんに似てるから。本人からじゃなくても、ああ言われるとショックだな」
「そう、だな」
「雫が心を開いてくれたら…か」
「…そういえばアイツ。倉庫にいる時は本読んでるな」
「ああ、そうだね。あ、前に読んでたの…蓮が持ってる本だった」
「何の本だ」
「〜」
「今度、話してみるか」
「俺も、前にお菓子食べてる時、何が好きか聞いてみたんだ。
そしたら抹茶系が好きだって、今度作ってくる」
「流石、茶道の名家…神崎家の跡取りだな」
「俺は跡取りじゃない」
「? お前が継ぐんじゃねぇのか?」
「二十歳になった時、姉さんが見つからなければ、継ごうと思ってる」
「そっか。そん時はあの家に戻るのか」
「でもまあ、それまでに姉さんが見つからなければの話だから。
絶対、姉さんを見つけて、一緒に…」
「…いや、一緒には暮らせねぇかもしれねぇぞ?」
「何で?」
「栞が見つかったら、俺がもらうからな。そうなりゃ、暮らすのは俺んちだ」
「少しは姉弟水入らずにしてよ。でも蓮のとこででも大丈夫だよ、隣同士なんだから
幼馴染なんだから、いつでも会える」
「ああ、いつでも会えるな。だから…」
「「絶対に見つける」」