訳あり無表情少女と一途な幼馴染

「俺は桜井蓮だ」

私が離れようとするのを他所に、男が名乗る

「名前聞いても分からねぇ?」
「知らねぇっつってんだろっ、離せ!」

離れようとするのに必死だった所為で気づかなかった
カチャ

「あっ」

男…桜井が私の眼鏡を外す

「お前、ホントに男か?」
「!?」
「声が高い、それに細い」

桜井はそう言いながら、掴んでる私の手首を見る

「失礼な奴だな」
「肌が白い」
「いい加減にしろ。俺は男だ」
「それに指」

桜井が私の指をスルリと触る
驚いて手を引こうとするが、グッと力を込められる

「これは男じゃねえだろ」

クソ、なんとか逃げないと

「しつこい
お前は知らねぇし、男が男の腕を掴んで抱き寄せるとか気持ち悪りぃから…離せ」

桜井は聞いてるのか聞いてないのか、ずっと私の指と顔を交互に見てる