「この城と皆を護ってくれたんだよ」


お后がリールに言う。



「護ってくれたから傷ついてるの?お母様」


リールは首を傾げる。



「そうだね・・・護ってくれたわよ」


后はリールを抱き上げようとするが、その手を避けて鈴羅の傷の上に手を掲げた。


「―癒せ

治せ

見つけた女神の涙が

傷を癒すとき

女神が微笑んだ」



鈴羅の傷が治っていった。



目が開いていく。



「鈴羅・・・起きたか?」


水鈴が鈴羅の背中を支える。



「まぁね。で?リール姫が癒しの術を使ったのね?ありがとうございます」



頭を下げる鈴羅にリールが頭を持ちあげた。


「レイ姉様!これからも水の魔術を教えてくれる?」



リールの言葉に鈴羅が微笑んだ。



「ゴメンね?もう無理だよ・・・出て行かないとね・・・5分後に国王が騎士を連れて入ってくるから・・・逃げておかないとね」



リールが



「え・・・・なんで逃げるの?」



窓側に近づいて鈴羅。


「リール姫とリーク様、リクア様、お后様が怒られないようにだよ」



目を伏せるお后。



「じゃぁ、お別れだよ。魔族が来たときは必ず、助けに来るからね」



水鈴と紅鈴が虎と龍の姿に戻る。



「いつか、会いましょ?元気な姿でね」



手を振って、窓から飛び降りた。