紅葉色の恋に射抜かれて

「これって……私たちの名前のイニシャルですか?」

「流行ってるんだろ? 好きな人とのキャップ交換。でも、俺たちのシーブリーズはキャップの色が同じだからな。イニシャルでも入れれば、特別な感じがするかと思ったんだ」

「なんで、弓月先輩がそんなことを知ってるんですか? 興味なさそうなのに」

「クラスの女子が話してるのを聞いたんだ」


照れくさそうに、キャップ交換をしたシーブリーズを私に返す弓月先輩。

顔が緩んでしまうのを隠せないでいると、弓月先輩は少し乱暴に私の頭を撫でた。


「こんなことで、そんなに嬉しそうな顔をするな……」

「すみません。みんなには秘密で、弓月先輩とのお揃いができたことが……幸せで」


イニシャルも目を凝らさなきゃ見えないくらい小さいし、同じ色のキャップだから、 みんなにバレる確率はきっと低い。

それがなんか……秘密の結婚指輪みたいだな、な んて思ったりして。


「ふふっ」


喜んでいる私を弓月先輩が温かい眼差しで見守ってくれている。

――ああ、弓道にも恋にもまっすぐなこの人が好きだ。


シーブリーズを握りしめながら、私は先輩と微笑み合う。

私たちの頭上には、熟した想いを表すような紅葉色の空がどこまでも広がっていた。

FIN