紅葉色の恋に射抜かれて

「……もう、暑苦しいし」


伝わらなかったんだ……。


自分なりに精一杯、誠意をぶつけたつもりだったのに、とうつむいていると彼女たちがぷっと吹きだす。


「六実さん、部長みたいなこと言うんだね」

「ふふっ、うん。これから部長二号って呼ぼうか」  


それを聞いていた葉山先輩は腕組みをしながら、苦い顔をした。


「なんだ、その部長二号っていうのは」

「背中を見せて認めさせる! ってところとか、クールそうに見えて意外と熱血なところとか、ふたりって似てるんですよ」


くすくす笑いながら、女子部員たちは私に改めて向き直る。


「本当にごめんね。自分が六実さんほど努力してないって、わかってるの」

「私もごめん。身勝手な嫉妬で傷つけて、これも……」


女子部員のひとりが私の矢を拭いて、手渡してくれた。


「大切な矢なのに地面に叩きつけたりして、最低だった。こんなんで私たち……上達するはずないよね」


肩をすくめる彼女たちに、私は首を横に振る。


「私もね、自分に自信がなくて……大会に出られなくていいとか、大会に出られなかった人たちもいるのにひどいことを言っちゃったんだ」


数日前、私が葉山先輩にこぼしてしまった愚痴のことを思い出して胸が痛む。

けれど、私は自分の言葉の責任をとるために、もう後ろ向きな発言はしないと心に決めたから……。