紅葉色の恋に射抜かれて

「六実、一年で先輩に混じって練習するのは、プレッシャーが大きかっただろう。それをわかってやれず、俺の意見を押しつけて悪かった」


あんなに無責任なことを言ったのに、葉山先輩は私の気持ちをわかろうとしてくれたんだ。

その事実に胸がいっぱいになった私は、ぶんぶんと首を横に振った。


「葉山先輩……それは違います。私はずっと逃げ道を探してたんだと思います。弓道がなければ、みんなともギクシャクしたりしなかったし、選手にならなければ大会に出る罪悪感に苦しむこともなかったのにって」


私は同級生の女子部員のみんなを見つめながら、苦笑いする。


「全部弓道のせいにして、自分の心を守ってたんです。でも……葉山先輩を見てたら、私も向き合わなきゃって思えました」

「……そうか」


少し嬉しそうに弾んだ声に背中を押されて、私は同級生の女子部員たちの前まで歩いていくと、その顔をまっすぐに見据える。


「みんなは私が射場に立つことも、大会に出ることも納得できないかもしれない。だから、ちゃんと認められるように県総体で結果を残すから、それまで見守っててくれないかな?」


言葉ではなく、私の行動で覚悟を示したい。

私は葉山先輩の射形を見て弓道部に入りたい、背中を見て自然とこの人についていきたいと思った。

だから私も葉山先輩みたいに行動や姿勢で、みんなにも認められるように頑張ろう。 そう考えたのだ。

けれど、彼女たちの口からこぼれたのは、あまり前向きな言葉で はなかった。