紅葉色の恋に射抜かれて

「いや、出過ぎた真似をしたな」

「そんなことありません。お兄ちゃんがいたら、こんななんだろうなーって、甘やかされた気分になれましたから。むしろ、ありがたいというか……」

「……六実は妹じゃないだろ」

「それは、そうなんですけど……。じゃあ、葉山先輩にとって、私ってなんです か?」


特に深い意味はなく、そう聞き返したのだけれど、葉山先輩は急に黙り込んだ。

不思議に思って、私は葉山先輩の顔をじっと見つめる。

でも、葉山先輩は視線を彷徨わせて、背を向けてしまった。


「六実は……六実だろう」

「ふふっ。なんですか、それ。てっきり、後輩だって言われると思ってました」


くすくす笑いながら、私は葉山先輩の前に回り込む。


「先輩。このタオル、新しいのを買って……」


返しますね、と続くはずだった言葉を私は飲み込んだ。

理由は目の前にある葉山先輩の赤い顔に、頭が混乱していたからだ。



なんで? どうして、葉山先輩が照れてるの?


脳内に浮かぶたくさんのクエスチョンマークに、誰も答えをくれることはなく、私は結局、なにも見なかったことにして葉山先輩から離れる。

それから、ほとんど会話もなく、私たちはいつもと違った緊張感の中で練習を再開することとなった。