紅葉色の恋に射抜かれて

「……っ、なんであたんないんだろう」


弓道の神様に嫌われてしまったのか、矢は一本、二本、三本と外れていく。


「なんでっ、私……全然ダメだ」


最後の一本を弦につがえていた私は、耐え切れずにその場にしゃがみ込む。

声を押し殺して泣いて、それからゆるゆると顔を上げた。

午後六時、空はまだうっすらとした青を残している。

昼の太陽に比べたら断然に弱い光なのに、目に涙が滲んでいるからか、余計に眩しく思えた。




数日後の火曜日。

弓道部の練習は月、水、金と週に三日しかないため、その練習時間では足らず、私は放課後に弓道場に向かっていた。

教室を出て廊下を歩いていると「北條先輩!」という甲高い声とともに、後ろから歓声が聞こえた。

何事かと振り返れば、隣のクラスである一年B組の教室の前に人だかりができている。


あれって確か……入学式の在校生代表の挨拶で見た生徒会長だ。


でも、生徒会長っ て確か二年じゃなかった?

どうして一年の教室の前にいるのだろうと首を捻っていると、中から本を片手に女の子が出て来た。